人格崩壊した少年B

人格崩壊した少年B

復讐によって、全てが壊れた少年

告白の中ではあらゆる人間の狂気とも付かない本質がむき出しとなり、最終的に森口 悠子という起爆剤によって全てを狂わされていく物語となっている。その最初の生贄であり、ただただ協力していただけだったが、最終的に彼自身が実行してしまったことを糾弾され、そして自分を喪失した下村 直樹については情けを掛けられるものではない。修哉と直樹によって森口の娘である愛美は殺されてしまったが、計画的に反攻を企てたのはあくまで修哉だった。彼にそそのかされて共に共犯をしたのが直樹だった、しかし直樹は森口に復讐という矛先を受ける事になってしまい、さらには精神破綻まできたすほどのダメージを背負うことになってしまったのは訳があったのです。

それは、自分の欲望がために愛美を殺そうとした修哉でしたが、彼は愛美を殺し損ねていた。そしてそれに気づかず、直樹に処分を命じていたものの愛美が意識を取り戻す。その時、直樹の中で何かが弾けて、修哉が殺し損ねた少女を直樹自身が手にかけてしまったからだ。最初こそ無理矢理だったが、最終的に実行犯となってしまった事実を射抜かれたために直樹は自分で自分を追い混むまでになってしまう。

第四章はそんな直樹が、かつて自分が犯した罪を振り返るというものになっている。

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解離性障害を発症

直樹は母を殺害した、そしてそれが最後の要因となったのか彼は自己喪失し、自分の記憶を自分のものとして認識することの出来ない解離性障害となってしまう。その記憶を、直樹は第三者のことであり、自分には全く関係のない話だとしてフラッシュバックする記憶を俯瞰していた。それが自分が犯した罪であることを認識できず、かつての自分を嘲笑うほどに下村 直樹という人間は全てを消失してしまった結論を頭に入れて、あらすじを見てみよう。

あらすじ

下村 直樹はとても平凡な人間だった。特別めいた能力もなく、誰よりも何かが優れているというわけではなく、ただただ群集の中に埋もれている存在であることに彼自身嫌気が差していた。それは母親が自分に対して抱く期待感の重さに耐え切れず、また答えられない自分に対して劣等感を抱いているが、それを誰も気づいていない。取り柄のない自分に対して、母が息子に対する理想である『優しさ』を求めていた事に対しても拒絶感を見せていた。

だからといって彼は自身の不満を爆発させるはけ口もなく、鬱屈した感情を溜め込んでいた。そんなところを渡辺 修哉に見ぬかれて、愛美殺害の一端を担わされてしまう。この時彼に与えられたのは、修哉が人を殺したという事実を周りに伝播するというものであり、修哉にすれば直樹は自分の活躍を広めるための証人に過ぎなかった。だが修哉は愛美を殺せなかった、そしてその愛美が自分の目の前で意識を取り戻したこと、これにより修哉に出来なかったことを自分がやれば彼よりも優っているという思い込みが働き、彼は意識が朦朧としている愛美をプールへと投げ捨ててしまう。

事の発端を知った修哉に激昂されるも、彼が出来なかったことを成し得たということで優越感にも浸っていた。しかしそれも森口の終業式による告白と復讐によって、彼の自己満足にすぎない仮初の優越感が直樹自身を追い込むこととなる。進級しても学校へ登校すること無く、HIVに感染したかもしれないことに怯え狂い、次第に彼は自分という存在を見失っていく。

そんな自分をいつまでも守る母に対して、直樹は以前森口が自宅に訪れた際に告げた内容は真実であること、自分が彼女の子供を殺したことを告白した。事実を知って錯乱した母に殺されそうになったが、直樹は抵抗したことによりその反動で今度は母親をも殺害してしまった。警察が来て施設へ送られた後、そこにいたのはかつて下村 直樹と呼ばれていた少年が、自分の記憶を自分自身で嘲笑という滑稽な状況があるだけだった。

取り柄のない自分が出来た悪逆により、全てが崩壊した

愛美を殺したこと、そして殺したことで修哉よりも優れているという事実に溺れ、誰に気づかれること無く自分は凄い存在なんだとありえない悦楽に浸っていた少年がそこにはいた。そんな思いも無残に、尽く、微塵も残さず、森口という牙によって引き裂かれて行く直樹の壊れる姿は劇中においてシリアスだった。HIVになったことで家族に感染しないようにと潔癖症でありながら、数ヶ月風呂に入らず、自身が使った食器やお手洗いの使用後は徹底的に自分で洗浄する。また自分が生きているという証を得るために自分が汚くあれば証拠として成立もした。

しかしそれも母親が睡眠薬を使い、自身の体を拭い、さらに髪を切っていた事実に絶望し、遂には自分は死んでいると思い込むまでに至る。HIV感染で他の人も巻き込もうとするなどして、もう自分が何をしているのかさえ区別もできないほどに直樹は自分で自分を追い込んでいった。

ただそんな彼を追い込んだのは彼自身だけでなく、自分勝手な理想を押し付けて依存する母優子の存在も大きい。さらにクラスからの報復も恐れているにも関わらず、学校へ来るようにと毎週のように訴えるウェルテルの存在も彼が追い込まれる一端となる。

自分が起こした顛末により、自分が追い込まれることになる直樹に同情の余地はない、しかしそれで一つの家庭が崩壊するまでとなった事実も森口にとっては計算のうちだったのかもしれない。

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次なる標的は

直樹の事が決したことで、森口の復讐は実質的に達成された。しかし残されたもう一人、主犯格の少年である修哉は状況が少し異なっていた。そしてそんな彼には普通のやり方では復讐は成り立たないとした森口はさらに、画策するのだった。