狂気じみた母の愛

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狂気じみた母の愛

下村 優子という存在

森口の復讐によって最初にその全てが壊されたのは、下村 直樹の方だった。ただ直樹だけではなく、彼の母である優子も森口により幸せだったはずの時間が全て破綻していってしまう。実は森口は一度、下村家へと訪ねていた。そこで優子と直樹、2人に改めて自分の娘が死んだ真実を告げたのだ。自分の息子を殺人者だと糾弾する森口に対して、優子は激怒する。そんなことはないと否定するも、ただただ森口が前にいる事実に震え、終始顔を俯かせている直樹は元担任と目を合わせることなど出来なかった。この時優子にすれば、言われようのない道理を突きつけられているだけで怯えているだけだと、息子の変化をそのように捉えていた。しかしそれは優子が直樹という自分の息子を本当の意味で理解していなかったという事実も浮き彫りになる。

二章で修哉はクラス内でいじめを、直樹は自室に閉じこもって錯乱する姿が描かれている。優子はそんな壊れていく息子を守るという事に専念するが、ウェルテルの存在と壊れる息子の狂気と行動により彼女の精神もまた限界を迎えていく。やがて息子が本当に人を殺したこと、森口の復讐によりHIVに感染したかもしれないという真実を直樹自身から聞かされて絶望する。守れなかった、そう悲嘆する優子はその果てに息子とともに自殺しようという結論に至る。

しかし優子は息子の抵抗にあって返り討ちとなり、直樹は二人目の殺人をしてしまうのだった。

新人作家さん大集合

三章において

三章ではそんな息子を殺そうとした優子が殺されてしまい、直樹は完全に精神が破綻してしまう。そんな下村家にはまだ子供がいた、直樹の姉だ。姉は自分がいない間に何が起きていたのか、どうして弟が母を殺さなければならなかったのか、その一切を知らなかった。それを知るために、姉は母が遺した日記から読み解いていこうとする。この章では直樹を溺愛するがゆえに、最後は息子に殺されてしまった優子自身の独善的な偏愛が記録されていた日記から、物語は始まっていく。

あらすじ

息子である直樹が自宅に閉じこもってから、優子はどうすればいいのかとひたすら悩んでいた。声を掛けても反応しない、時折部屋で暴れては止められず、また数ヶ月とお風呂にも入ること無く部屋に籠もりきりとなってしまった息子を助ける術を探していた。そこへウェルテルが登場し、毎週のように訪れるも彼の行為により直樹の気性はさらに乱されてしまい、来るだけ来て何もしないウェルテルへの憤りが増す。

しかしそれ以上に優子は自分の息子を追い込んだ森口の存在を何より憎んでいた。彼女のせいで直樹はあんなことになってしまった、彼女がいなければ幸せだったのに、そんな誰にも話せない心内を示せるのは日記の中だけだった。そこには日々優子視点による直樹のこと、直樹がどんな子供で、どんなに優しい子なのかというのが描かれている。そこにあるのは彼女が知る下村 直樹という存在が、子どもとして歪な程、そして直樹がいなければ生きる意味が無いという母としてにじみ出ている執念めいた思いが込められていた。

次第に精神も磨り減り、息子の様子がおかしくなってしまったことに堪えられなくなってしまった優子は、決断した。夫と娘に対する遺言として、先に自分は直樹とともにこの世を去るというあまりに独断的なものだった。

母性の狂化

この章では直樹の姉が弟の殺人を知るために母の日記から読み解こうとしたが、そこにあったのは下村 優子という女性であり、母親でもある彼女が自身の息子に対する執念めいた情愛が記述されていた。それを愛と呼ぶには重く、過保護という表現には程遠い、愛憎といえるような感情が爆発していた。母である自分が息子を守らなくてはならない、しかし同時にその日記には彼女が頼れる存在は息子しかいないという事実を浮き彫りにしている。

日記を読む姉、それは下村家の次女で大学生をしていた。一人暮らしをしていたため、母がこんな思いをしていたとは知る由もなかった。またもう一人の姉はすでに家庭を持っており妊娠をしていたが、弟が起こした母親殺害により、大きなショックを受けて流産しかけるまでになってしまう。

父親は仕事一筋で、家に帰りながらも異変と直樹の引きこもりに気づくこともなかった。その状況によって母が追い詰められた故に起こした凶行、そしてその脅威に晒された弟が起こした殺人、それはあくまで正当防衛だったと次女は思う。しかし姉の思いとは裏腹にすでに直樹は自我を喪失していた。

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下村家の崩壊

この章では下村家の崩壊が記述されている、森口にすればどこまで計算に入れていたかは定かではないものの、直樹に対する復讐としては十分過ぎるほどの結果となってしまったことは間違いない。この事件によって、直樹は自分という存在を失い、そして自分が何者なのか分からなくなるほどの精神疾患を負うことになった。