「告白」はすごい!

湊かなえ原作『告白』について

原作ものの中ではかなり面白い

昨今テレビドラマ化・映画化されている作品は、大半が脚本家オリジナル作品ではなく漫画や書籍、小説といったものを原作としてアレンジしたものが放送される傾向にある。中には確かな記録を生み出したものもある、ただそれらの作品は物凄く例外中の例外となっている。ここ数年でも色々な作品が原作を起点として実写化されて話題を集めているが、それらは大抵改悪されてしまいがちだ。こうはっきりいってはあれだが、ほんとうに最近のテレビ事情はつまらなくなってきたとしか言えない。テレビを一日全く視聴しない人が増えているのもそのせいだろう、今の日本におけるテレビ業界は本当に悪循環を延々と繰り返している。

どうしてこうなってしまったのかというのは、おそらく数字が取れないと仕事として成り立たないと見なされてしまうからだ。そのため脚本家が持ち込むオリジナル作品となると、実績やこれだけ売れるという統計すら全く話にならず、それまで映像化されて確実に売れるという保障が見込める作品だけが映像作品候補と見なされてしまうという。ちなみに、現在オリジナル脚本を持ち込んで採用されるのは大物中の大物くらいだと言われている。それなら民法でかつてはドラマ事情で覇権を獲得していた各局の凋落ぶりは顕著だ。そういう意味ではアニメを中心として、マイナーな番組を制作しては安定した評価を設立から得続けている某局が凄く見えてしまう。

90年代はもちろん、00年代初期まではドラマや映画も面白い物は確かにあったが、本当につまらなくなってしまったという一言しか無い。現在公開されている作品の中には、すでに映像化も5作目といった、またこれかよと突っ込みたくなる作品まで公開されている。あまつさえ、ただでさえアニメ作品の実写化なんて大半が失敗に終わるものを何を血迷ったのかと実写映像作品にしてしまっているため、嘆きようがない。作品もそうだが、出演している役者さんたちも本音は別に抱えているはずだ。

アニメにしても、漫画にしても、小説にしても、これら作品を原作として実写化するのは良いとしても、中には大ヒット作というものは出てくるものだ。また予想以上に面白く仕立てられた作品として題材を上げたいのが、湊かなえ先生が執筆した作品で大ヒットした『告白』という作品についてだ。こちらもまた2010年に実写映画化されて、その内容から高い評価を得ている。

原作作品の良きヒット例

告白という作品は小説を原作として実写化されたものだが、あまり期待していなかったという人も少なく無いだろう。何せ失敗例を毎年良く見かけていたため、大した作品ではないと思っていた人も多いはずだ。ただ作品が公開されるやいなや、緊迫した展開と息も付かせぬ場面転換に加え、絡み合う登場人物たちの思いが交錯することで繰り広げられた末に、導かれた結末には圧倒される。映像作品であるため、原作の内容には準拠しながらも所々で割愛されている部分があるのは仕方ないとしても、忠実に作品として仕立てあげている脚本は素晴らしい。

おそらくここ数年発表されている原作元を題材にした作品の中ではヒットしたほうだ。個人的にもそう評価できる。色々と調べ事をする仕事柄、たまたまこの作品を知ったため軽くDVDをレンタルして視聴してみたが、中々面白く出来上がっていた。これまで様々な原作ものの実写映像作品を見てきた中では優秀な方だ。またこれまで世間的にも評価されて成功した漫画や小説を原作とした作品を少し抽出してみると、次のようなものが挙げられる。

成功した作品

作品名 原作 放送形態 初放送年
GTO 少年漫画 テレビドラマ 1999年
ごくせん 青年漫画 テレビドラマ 2002年
スカイハイ 青年漫画 テレビドラマ 2003年
花より男子 少女漫画 テレビドラマ 2005年

失敗した作品

では今度は逆に、実写映像化して失敗した作品を取り上げてみよう

作品名 原作 放送形態 初放送年
デビルマン 青年漫画 映画作品 2004年
黒執事 青年漫画 映画作品 2014年
僕は友達が少ない 小説 映画作品 2014年
ルパン三世 青年漫画 映画作品 2014年

こうした点から見れば

取り上げた作品は大半が漫画作品となっている。ヒットした作品の中には実際に見ていたという人もいるだろう、懐かしいという人もいるかもしれないが、逆にそもそもどうして実写化しようだなんて考えたと言われるような、辛辣に言ってしまうと『駄作』も出てしまっている。失敗した例の中には納得する作品ばかりを挙げてみた、中には興行収入的には決して悪くはないと言えなくもないものもあるが、原作ファンを始めとした多くの人々から拒否反応が強い点は否めない。

そもそも無理なのかもしれないと判断することも出来なくもない、ただ成功した例などを考えても必ずしも失敗するとは限らない。それが花より男子であれ、告白であれどもだ。この二作品、特に前者はテレビドラマから始まり、最終的に映画作品まで公開されて一躍大ヒットを記録した近年稀に見る実写作品の中で一番の大作だと断言できる。後者については一作品であり、さらにその内容は決して明るいものではない。サスペンス映画となっているものの息をつく暇もない仕上がりとなっており、より良い方向で作品が完成されている。

その内容に戦慄する

これまで公開されてきた映像作品を元にしてきたが、告白はその中でも良い意味で仕上がりが完璧となっている。この作品では主演を『松たか子』さんとなっており、後にまさか国民的な人気を獲得することになる『アナと雪の女王』より前となっている。この作品で、松たか子さんは新境地を開拓することに成功したと言える。それまで演じられてきた作品の傾向を見ていても、これまでの役とはかけ離れたシリアスなものとなっている。何せ主人公は実の娘を殺されてしまい、殺害した犯人たちを追い詰める復讐者という設定だからだ。これだけならまだありがちなところだが、その対象は大人ではなく主人公よりも明らかに年下となっている『中学生』という点もゾッとする。

実際、作品を視聴してみると最初と最後で演技というものは変わっていくものだが、松さん演じる主人公はただ淡々と復讐を行っていき、最終的にそれが完璧に成し得たとしても激昂といった感情を爆発させることをしないのだ。ゆっくりと、確実に、どうすれば圧倒的な絶望を与えられるか思案する姿と謀略、それはまさに狂気となっている。

そんな松たか子さんが主演して、2010年当時高い評価を獲得した告白についてこのサイトでは考察を交えながら、特集していく。